▼挿し木の方法
①挿し穂が少ない場合(10本以下)
挿し木のための道具
挿し穂とり
挿し床づくり
挿し木の実際(プール挿し)
②挿し穂が多い場合
挿し床づくり
挿し木の実際
▼挿し木 鉢上げ
▼クレマチスの挿し木の成功率
▼パテント(PVP)のついたクレマチスの挿し木についての注意点
一般的にクレマチスは挿し木がつきやすい植物です。
一部の挿し木増殖困難な系統を省き、半分以上は成功します。
あまり難しくもありません。
数打てば当たる方式で、色々挿してみてください。
挿し穂の選び方で成功率が大きく変わりますので、挿し穂選びに重点をおいてください。
挿し穂が悪ければどんなに慎重に挿しても失敗します。
お気に入りのクレマチスをたくさん増やし、花をいっぱいにしましょう。
また、クレマチスは立枯れ病というやっかいな病気にかかりやすい植物でもあります。
もし立枯れ病になり、枯れてしまったら悲しいので、保険株を作るためにも挿し木を挑戦しましょう。
4月から6月に開花するクレマチスの挿し木の適期は5-8月です。
花後に行います。
挿し木を行うのは日陰でしましょう。
時間は朝か夕方がいいです。
・挿し穂
・ルートン:挿し木の発根率が上がります。2割くらい発根率が上がる印象です。
・深鉢:深い方がベター ビニールポットでもできます
・棒:挿すツルの太さくらいならなんでもいいです。固い方がやりやすいです。
・バケツ:あまり深くない方がいいです
写真のように2節とりましょう(見にくいですが、一番下に節があり、そこから出ている葉柄をきったあとです)
以下の注意点を守って、挿し穂を取りましょう
・今年伸びたツルで花芽がない枝を清潔なハサミで斜めにカット
・2節で1差し穂が基本ですが、節間が長ければ1節でOK
・いい挿し穂のツルの色は緑と茶色の中間くらいの色、硬さはしなやかだが弾力があるくらいがベスト
・葉の数を両脇に1-2枚ずつ残す(葉を半分に切る方法もありますが、葉を切ったら見た目が格好悪いのでしていないです)
・私は節の間が長ければ1節挿しにします。目安は、節間が15cm以上あれば1節にしています。
(注)パテンス系のカザグルマの血が濃い品種は、節からしか根が出ないので、1節挿しは成功率が低いと思います。
全挿し木の工程で、どの挿し穂をとるかが一番大事です。
挿し穂を取ったら、一つ上の写真のように、容器に水を入れ、2時間ほど日陰においてください。
水に挿しておく時間は30分でも半日でもあまり差がありません。1日以上は置かない方がいいと思います。
容器の水にメネデールを少し入れておいた方が挿し木確率が上がります。
私は赤玉小粒8割+パーライト2割(だいたいです)
鉢の1/3くらいまで上の割合の土をいれます。
<注意点>
鉢底の石はいれません。
赤玉土は新しいものを使用してください。
挿し木の成功率はいかにして感染から節を守るかにかかっています。
鉢底の石や、使用済みの赤玉土は細菌や糸状菌が繁殖している可能性もあるため使用しません。
バケツに水を入れていきます。
丁度土が濡れるか濡れないくらいにします。
棒を挿して、挿し木を挿しやすくします。
回すようにして穴を大きめにした方がやりやすいです。
挿し木にルートンをつけます
ルートンをつける量は多すぎないようにしてください。
棒であけた穴に挿します。
棒は挿し穂より太い方が入りやすいです。
無理やりいれず、そーっと入れてください。
挿し穂が曲がってい場合は、土を入れる前に挿し穂を鉢にいれておき、後から土を上から入れていった方がいいです。
土(赤玉小粒+パーライト)を足します。
バケツの水を増やしていきます。
鉢の上からかけずに、バケツの水かさを上げた方がしっかり水につかります。
私はこの水にメネデールとハイポネックスをごく少量入れます。(省いてもいいです)
挿し穂がぐらぐらしないように上から土を抑えます。
こし水をします。
5㎝くらいでいいと思いますが、挿し穂の一番下の部分が水につかる程度です。
もし挿し穂が短くて、鉢の半分までしか刺さっていない場合は、こし水もバケツの半分くらいまでいれます。
日陰においてください。
置き場所は風が当たらないところがいいです。
自作の挿し木置き場
日陰の場所がない場合は、日陰を作りましょう
すだれは風もある程度通し、雨の日は水やりしなくていいでのお勧めです。
中の棚はホームセンターで購入したビニール温室です。
ビニールをつけずにすだれをつけています。すだれはビニタイで止めています。
その後は2-3週間でこし水をなくして、普通に水を上からあげてください。
最初の2週間は毎日水をあげ、その後は2日に1回くらい水をあげます。
2か月くらいたち、鉢の下から根が出てきたら鉢上げしてください。
~約2か月後~
発根が確認できました。
鉢上げしましょう。
土は普通の培養土を入れましょう
肥料は鉢の中心(ツルの近く)にはいれないようにした方がいいです。
<道具>発泡スチロールの箱、ビニール(土の袋でも可能)、土(新しい赤玉小粒:パーライト 8:2)、ビニールポット10個、棒
①発泡スチロールの箱の底に穴を何か所かあける
穴の大きさは1cmで、四角でも丸でも構いません。
道具はカッターナイフなどを使用します。
(注) 穴を開けるときに発泡スチロールがボロボロおちますので、新聞紙の上などでした方がいいです
②ビニールにもハサミなどで穴をあける
発泡スチロールの穴とビニールの穴は一致しないようにしてください
同じ場所に穴をあけると、土がでてしまいますので注意してください
③穴をあけたビニールを発泡スチロールにいれる。
ビニールの大きさはだいたい発泡スチロールの大きさにカットしてください。
ビニールが少し大きい方がベターです
④上から作った土を少しいれます。深さは1㎝くらいでいいです。
⑤入れた土の上にポットを並べます。
⑥ポットに土を入れていきます。
ポットとポットの間の隙間にもしっかり土をいれます。
発泡スチロールの箱の外側にピンクの養生テープが見えると思います。
これは、ポットの位置がだいたい分かるようにしています。
⑦ポットの丈夫の淵より5cm程度上までしっかり土を入れます
⑧水が一時的にたまるくらいにいれて、土に水をしっかり含ませます。
これで挿し床が完成です
棒で穴をあけ、そこにルートンをつけた差し穂をそーと挿入(この時無理に入れることは厳禁です)
挿入後は周りの土をぎゅっと押さえて差し穂を固定します
(棒で開けたために出来た下の方の隙間を埋めるように念じて押さえる)
上の写真は棒をいれて穴をあけているところです。
コツは挿し穂より少し太い棒を用意し、棒を挿した後、ぐりぐり円を描くように穴を少し大きくすることです
また、棒から雑菌が入りますので、水で洗ってから使用してください。
この作業はコツがいりますが、徐々に慣れてきます。
注意点としては、
・無理やり挿さない(挿し穂の切口に傷がついたり、折れたりします)
・挿し穂を発泡スチロール箱の外にかざし、どのくらいまで挿し穂いれたらいいか目安を覚えておく
・ツルが曲がっているものは難しいので、そのツルは、挿し穂が少ない場合の方法で行う
・養生テープの位置から、ビニールポットの位置を意識して、出来るだけ埋まっているポットに挿すようにする
名札を挿して終了
挿し穂が曲がっている場合は、挿し穂を傷つけずに土に穴をあけて挿すのが非常に困難なため、以下の方法の挿し木をおすすめします。
写真のようにポットに少し土をいれておき、挿し穂をその中に置きます。
挿すのではなく、おいておきます。
そのあと、土をかぶせていきます。
挿し穂の向きを土を入れた後に整えます。(水を入れる前にしましょう)
ポットとポットの間の隙間に土をいれます。
水をびちゃびちゃになるまで入れます
この方法なら挿し穂が節のところで直角に曲がっていても傷つけずに挿せます。
1ポットに5本くらい差し木できるので、1箱で最大50株くらいの挿し木ができます。
2か月後に土をあけて根が出ているものは鉢植え替えしてください。
挿し木2か月後の状態
ポットからだし、水あらいした後の状態です。
根が出ているのが分かります。
少ししか根が出ていなくても、鉢上げしてみてください。
ポットに植え付け
普通の土に植え替えましょう(挿し木で使用した土に赤玉中粒や、バークたい肥、などを混ぜて使用してもいいです)
肥料はあげすぎないようにしてください。
置き肥をおくなら、ポットや鉢の外側に置くか、埋めるかしてください。
来年4月か5月に鉢上げした苗が花が咲くかは、
①株の充実具合
②旧枝咲きの場合は、挿し穂に花芽がついているか
で決まります。
一般的には、株を充実させるために1年生には花は咲かせない方がいいですが。
パテントつきのクレマチスとは、農林水産省に登録されている品種のことで、無断増殖・譲渡・販売が法律で禁止されているクレマチスのことです。
令和5年8月24日現在においては、パテント付き(PVP)でも、
及川フラグリーン、春日井園芸センター、クレマコーポレーション(駿河のクレマチス)、湘南クレマチス、おぎはら植物園で生産、または購入したクレマチスに関しては、自分で楽しむ分には挿し木増殖可能と考えます。
(将来的にはナーセリー各社も意見が変わるかもしれません)
上記販売店以外で購入されたパテント付きクレマチスは品種登録者に確認してください。
無料でも他人への譲渡はダメですよ。