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クレマチスの病気にはクレマチス立ち枯れ病、うどん粉病、白絹病、ネコブセンチュウ、黒星病、さび病などがあります。
ダメージ的には立枯病>白絹病>うどん粉病>さび病・黒星病かと思います。
立枯病・白絹病は株自体が消滅するかもしれない病気ですが、それ以外はなんとかなります。
一般的に、立枯れ病以外の病気は、鉢栽培の方が病気になりにくいです。(立枯れ病は地植え・鉢のどちらでもなります)
立枯病:フロリダ系、八重咲き品種、一部の早咲き大輪系に多い
窒素過多・高温多湿で感染が悪化しやすいようです。
うどん粉病:ヴィオルナ系・一部のインテグリフォリア系に多い。他の系統もうどん粉病になることはありますが、あまり被害は出ません。
窒素過多で感染しやすいようです。当地では5月と10月に多いです。
白絹病:どの品種もなりますが、環境によりけりです。気づいたときは株が消滅しかかっていることがほとんどです。高温期に発生します。
ネコブセンチュウ:高温期に発生しやすいです。地植えの場合は感染はしやすいです。少しの感染なら全く問題ありません。
鉢の場合、地面の土壌から感染するので、鉢受けを使用しましょう。
大量発生するとやっかいです。
黒星病:テキセンシス系に多い印象です。特にテキセンシス系キャサリン クラン ウィリアムは毎年黒星病になっています。ただ、枯れることはあまりなく、花も普通に咲きます。葉の観賞価値が落ちる程度です。
さび病(赤さび病):どこかからさび病の胞子が飛んで来たら感染します。当地ではまだ発見していません。
窒素過多で感染しやすいようです。
クレマチスには立ち枯れ病(たちがれ病)という厄介な病気があります。
昨日まで元気だったツルや花や葉がいきなりしおれてしまう病気です。
他の植物にも立枯れ病は存在しますが、クレマチス立枯病はクレマチスにしか発生しません。
上の写真も立枯病の写真で、1枚目は遅咲き大輪系の八重花マズリーです。開花した次の日にしおれてきました。
2枚目は早咲き大輪系ニオベです。分かりにくいですが、写真中央の左側に小さなつぼみがついたつるがお辞儀しているように垂れ下がっています。3枚目はフロリダ系大河です。ようやくつぼみが開こうとしているときに立枯れました。
立枯病になればそのツルはもう戻りません。それを治療することも出来ません。葉の様子が元気な所までたどっていき、元気がないツルをカットしましょう。根元まで元気がないなら根元の地表部でカットしましょう。
株立ちしているツルなら1本が立枯れても他のツルが元気ならば大丈夫です。
立枯れ病は最初は凄くショックでした。特につぼみが膨らんできたときや花が咲いた翌日に立枯れてしまったときは、萎えました。突然死のような病気ですので。
残念ながら治療法はありません。枯れたつるを根元から除去します。
立枯れ病か水枯れか分からない時は、水を上げてください。半日たっても戻らない時は水枯れではありません。
株立ちしている場合、1本が枯れても他のつるが元気なら枯れたつるのみ根元から切ってください。
株立ちしていなく、1本の場合で、そのつるが枯れたなら、出来るだけ地上部ギリギリのところでつるをカットしてください。
運が良ければまた新しいツルが地中から出てきます。3か月しても何も出ない場合は、お星さまになっている可能性が高いです。
つぼみがついていたり、花が咲いたつるが立枯れているのを発見したらすぐにカットし、花瓶に挿しましょう。
つぼみが大きければ咲きます。部屋で見るクレマチスもきれいですよ。
クレマチス立枯れ病は私の研究対象でもありますので、詳細はまたまとめ次第更新していきます。
クレマチス ヴィオルナ系・テキセンシス系や一部のインテグリフォリア系で問題になる病気です。
季節は5-6月と10-11月に発生しやすいです。
うどん粉病は他の系統でもなるときもありますが、あまり樹勢には影響ありません。
1枚目の写真のように上の葉のみに白い粉が出現したら、下記のスプレー(①)などを2日連続で散布してください。それだけで治ることも多いです。
上の葉だけが感染している場合、他の植物や遠くから飛んできた胞子による感染です。
2枚目の写真ように(見にくいですが)株の下の方から全体的にうどん粉病になっている場合は、下記の希釈用の消毒(②)でしっかり治療した方がいいと思います。
下の方から広がるする場合は、土から感染が発生している可能性が高いです。いつもそうなる場所は肥料を控えめにしましょう。
うどん粉病は糸状菌の一種です。色々なうどん粉病菌があり、200種類以上あるといわれています。
ダリアのうどん粉病菌がクレマチスには移らないように、クレマチスのうどん粉病はクレマチスにしか感染しません。
①スプレー(軽症 狭い範囲)
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 GFオルトランC 420ml エアゾール
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 ベニカXファインエアゾール 450ml バラ
②希釈用(しっかり消毒 広い範囲)
殺菌剤 GFベンレート水和剤 2g×6
殺菌剤 STサプロール乳剤 30ml
殺菌剤 STダコニール1000 30ml
展着剤
これを入れたら消毒が長持ちします。
農薬(展着剤)シンダイン 500ml
A. 水5L+ベンレート2g1袋+展着剤1ml
B. 水5L+サプロール5ml+展着剤1ml
C. 水1L+STダコニール1000 1ml
希釈用薬剤の噴霧器を調べたい方はこちら Amazonの消毒用の噴霧器
4月A投与、5月B投与、6月A投与 あとは秋に1回A使用
Cはうどん粉病が強いときに適宜使用
(私は殺虫も同時に行いたいので、上記に希釈用オルトラン50mlも混ぜます。)
(注)ダコニールは抗菌剤として色々な病気に効果がありますが、葉が白くなり、葉の観賞価値が下がるので、使用の頻度が低いです。それぞれお好みで使い方を決めてください。
ポイントは、同じ薬剤を使い続けないようにした方がいいです。
人間の病気と同じで、うどん粉病になってから治療をするのではなく、病気にならないように予防をしておく方がいいです。
クレマチス以外の他の植物(バラやダリアなど)もうどん粉病に対しては同様の薬剤でOKです。
うどん粉病対策は予防投与が大事です。
2-3種類の薬剤をローテーションして早めに投与しましょう。
クレマチス白絹病も厄介な病気です。糸状菌の1種が地中に繁殖し、クレマチスを枯らしてしまいます。
1枚目の写真のつるの根元が白っぽくなっているのが分かりますでしょうか。これが白絹病です。
2枚目の写真は白絹病になった株の上の方のツルです。葉がぐったりし、枯れようとしています。
地中感染症のため、花や葉だけ見ていると白絹病を見つけにくいです。
夏の高温多湿の時期に発生しやすいです。
白絹病を疑ったらまずは株の根元を少し土をどけてみましょう。白っぽいカビみたいなものがあれば白絹病です。
白絹病の可能性が高い場合は、すぐに土の範囲を大きく取り、株を掘り返しましょう。
1枚目の写真でわかるように、白くなっている根が感染した根です。これを可能な限り除去します。全ての根っこが感染していたらもう手遅れです。そのまま袋に入れて焼却した方がいいです。クレマチス立枯れ病と違い、白絹病はどんどん周囲に感染を広げるので、感染した株から10ー15㎝四方の土も除去します。(2枚目の写真)
感染が軽微ならまた同じ場所に植えてもいいですが、その株は鉢上げした方が無難です。鉢ならそこから感染が広がらないので。
土を除去したら感染していない土を入れてましょう。その時に下記の薬剤を混ぜてください。再発予防につながります。
株を鉢にするときも下記薬剤を混ぜ込んだ土を入れましょう。
下記の殺菌剤 アフェットフロアブルは白絹病の予防にはいいですが、治療にはあまり効果がありません。
三井化学クロップ&ライフソリューション 殺菌剤 アフェットフロアブル 100ml
水2Lに薬1mlの割合で希釈し、土に混ぜます。
狭い範囲なら噴霧器は全自動じょうろ 噴霧器 USB充電がお勧めです。
周囲の土にも散布してください。
上記の方法で感染を広がらないようにできます。処置が早い方が効果が高いので、上のツルが元気ないときに根元をちょっと掘って、白っぽかったらすぐに掘りかえしましょう。
白絹病は地中の感染なので、疑うことが大事です。
疑ったら株の根元を少し掘ってみましょう。白絹病になった場合は、その株を治療するというよりも周囲に感染を広げないことを第1に考えましょう。ほっとけばどんどん広がります。
クレマチスはネコブセンチュウやネグサレセンチュウにも感染します。
上の写真はネコブセンチュウです。根が丸く膨れているのが分かると思います。この中にセンチュウがいます。
写真はかなりひどい状態です。クレマチスの鉢を鉢受けや台などの上に置かず、直接土の上に長期間ほったらかしにしていたらこうなっていました。
鉢は直接土の上に置かないようにしましょう。特にネコブセンチュウの活動期である夏場は要注意です。
ネグサレセンチュウの写真はありませんが、根が全体的に黒くなります。
ネコブセンチュウやネグサレセンチュウに対してはネマトリンエースという優れた薬があります。
ネコブセンチュウには効果がないという話もききますが、私の使用した感じではネコブセンチュウにも結構効果があります。
ネコブセンチュウに感染が広がった花壇があり、20㎝ほど掘ってこの薬を土に混ぜておいたら1年ほどでネコブセンチュウの感染がほとんどなくなっており、驚きました。
1m2(1m×1m)で2g(小さじ半分)使用して土に混ぜ込みます
石原バイオサイエンス 殺虫剤 殺線虫剤 ネマトリンエース粒剤2kg
鉢栽培の場合は、直接地面に鉢を置かないように!
路地植えの場合は少々感染があってもあまり大丈夫です。ネコブセンチュウの感染を見つけたら上記薬剤を少し混ぜ込みましょう。
クレマチスの葉にはアブラムシ・アオムシ・ケムシ・ハダニがつくことがあります。
ほとんどの虫に対しては下記のオルトランでOKです。
葉に穴が空いたり、かじられたりしているのがサインです。ハダニは裏から食べるので、表からは斑点がみえます。
ハダニの場合は裏を消毒しましょう。
発生前に定期的に消毒しましょう。私は4月・5月・6月にそれぞれ1回ずつ 9月に1回で計4回ほど消毒しています。
スプレー 狭い範囲にとりあえず撒くときに使います
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 GFオルトランC 420ml エアゾール
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 ベニカXファインエアゾール 450ml バラ
希釈性殺虫剤
上のスプレーの希釈版、広範囲に定期的に散布するときに使用
予防的に月に1回散布します。展着剤を使用すれば長持ちします。
うどん粉病や黒星病などが発生しない庭ならこれだけで十分です。
殺虫剤 GFオルトラン液剤 100ml 浸透移行性
農薬(展着剤)シンダイン 500ml
使用法:水5Lにつき、オルトラン10ml+展着剤1ml
葉やつぼみがかじられており、ねばねばの成分が周囲に確認出来たら、ナメクジかカタツムリがいます。
大量発生すると花や葉が食べつくされます。
見つけ次第、下記薬剤を散布しましょう。一気にいなくなります。本当によく効きます。